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特別インタビュー企画「財形制度とライフマネー」社員の人生も会社の発展も支えてくれる財形制度の魅力を探るNPO法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会理事長CFP(R)認定者白根 壽晴(しらね としはる)

 
経済が大きなダメージを受け、誰もが将来に不安を感じているいま、幸せな人生を送るために、生活者にはどんな備えが求められてくるのでしょうか。
資金計画の考え方や、財形制度の上手な活用法を、お金のプロに伺いました。
 
 
目次
1.ライフプランをもとに、未来を見通す
2.人生の三大資金をカバーする財形制度
3.財形を手がかりに、金融リテラシーを高める

ライフプランをもとに、未来を見通す

—— 日本経済を取り巻く環境が大きな変化を迎えている中、多くの生活者が、将来に不安を抱えています。これから、私たちはどのような姿勢で資産づくりに取り組んでいけばいいのでしょうか。

私たちの暮らしやお金に影響を及ぼす要因はたくさんあります。2008年のリーマン・ショックに端を発した世界同時不況や、2011年に起こった東日本大震災の影響については言うまでもないでしょう。近年のかつてない円高によっても、日本経済は大きな打撃を受けています。高齢化と人口減少も進みつつあり、今後、日本経済が大きく成長することは期待できません。収入が増えない反面、税金や社会保障費用の負担は確実に増えていきますから、日々の暮らしに使えるお金、いわゆる可処分所得は減っていく一方です。

さらに、現在の日本はデフレ経済のただなかにありますが、国際的にはインフレの兆しが見えてきています。従って、なんらかのインフレ対策も考えておかなければ、ただでさえ限られた資産が目減りしかねません。

終身雇用や年功序列、定期昇給といった、これまで日本の経済を支えてきたシステムも見直されており、将来について心配されている方も多いはず。ですが、漠然とした不安を抱えているだけでは、問題はまったく解決されません。人生設計をもとに具体的な不安要素を明らかにして、問題解決に向けたライフプランを前向きに考えていく必要があるでしょう。

数あるライフイベントが短い期間で集中する可能性を考慮し、資金計画は前倒しで考える

 

—— ライフプランの立て方について、教えていただけますか。

まず、ライフイベント表を作ってみましょう。就職、結婚、出産や子育て、マイホームの取得、退職と、人生の節目となる出来事、つまりライフイベントを、自分の年齢と照らし合わせながら書き出していくのです。ライフイベントには、必ず大きなお金が関わってきます。ライフイベント表を作ることで、お金が何年後に必要になるかが見えてくるでしょう。

次に、収入がいくらで、食費・住宅費・税金などの支出がどれくらいか、ライフイベントごとにどれくらいのお金がかかるかを、キャッシュ・フロー表(※下に記載)に書き出してみます。見通しがはっきりすれば、逆算して、「いつまでに」「どれくらい」のお金をどうやって準備していくべきか、そのために見直すべきポイントはどこか……と、具体的な対策に向けて前進していくことができるようになります。

数あるライフイベントの中でも、「教育資金」「住宅資金」「老後資金」は特に必要となる額が多いため、人生の三大資金と呼ばれています。教育資金は、子ども1人を大学まで行かせた場合で約1000万円、住宅資金は平均で3500万円前後。老後資金では、夫婦2人が最低水準の暮らしを送る場合で月額約23万円、ゆとりを求めるなら約37万円が必要という試算があります。厚生年金はモデルケースで夫婦月額20〜22万円、国民年金の場合は支給額がより少なくなりますから、不足分をカバーできるだけの資金を、現役のうちに蓄えておく必要があるわけです。

最近はライフスタイルも多様化しており、一生独身という人や、結婚しても子どもはつくらないケースなど、人それぞれではありますが、総じて、晩婚化・晩産化が進む傾向にあるので、その後のライフイベントがすべて後ろ倒しになっている、という点には注意が必要でしょう。結婚から出産、子育て、マイホーム取得、リタイアといったライフイベントを、短い期間内に集中して迎えることになるからです。

結婚や住宅取得をいつごろ予定しているか、子どもが生まれたら、大学まで約20年間にわたる教育資金をどうするのか、さらには、誰もが迎える老後の資金をどう準備していくのか……。それぞれの目的別、期間別に、複数の準備を同時に考えることになりますので、資金計画は前倒しで考えることが重要になってきています。

 
ライフイベント・キャッシュフロー表

左記は日本ファイナンシャル・プランナーズ協会ウェブサイトで提供されているライフイベント・キャッシュフロー表。自分の収入と、これからむかえるライフイベントを照らし合わせて具体的な資金計画に利用できる。 白根氏が指摘する通り、晩婚化・晩産化により、その後のライフイベントが後ろ倒しになっている点にも注目し、資金計画の前倒しを計りたい。

参照:日本FP協会 ウェブサイト「若手社会人のマネー&ライフプランお役立ちハンドブック!」

 

資産づくりにおいては「時間を味方につける」ことが肝要

—— 従来とは、資産づくりの時期や考え方も変わってきているのですね。

はい。現在、20〜30代の方が置かれている経済環境は、その方々の親の世代が体験したものとは、まったく別の世界なのです。

約20年前にバブルが崩壊するまでは、周囲と同じように働いていれば、年齢とともに収入が増えて、さほど気負わなくてもそれなりに資産づくりができ、幸せになれました。しかし、日本の人口も2004年をピークに減少期に入り、経済全体が縮小していきつつある現在は、それぞれがしっかりした人生観をもとにマネープランを立てて備えていかないと、満足のいく暮らしを送ることは難しくなっています。

資産づくりにおいては、よく「時間を味方につける」ことが大切だといわれます、たとえ小さな利回りの差でも、5年、10年、20年という長い時間の中では大きな違いを生みますから、早めに準備を始めれば、それだけ有利になる、ということです。例えば、就職した段階ですぐに、今後のライフイベントをすべて見通し、それぞれの必要に応じた資金計画を始める、というくらいの気構えでいてほしいところですね。

そこで注目しておきたいのが財形制度です。時間を味方につけるという意味でも、計画性という観点からも、生活者の資産づくりにおける財形制度の重要性は、非常に大きくなっていると考えられます。

人生の三大資金をカバーする財形制度
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