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  • 財形制度とライフマネー:財形を手がかりに、金融リテラシーを高める

特別インタビュー企画「財形制度とライフマネー」社員の人生も会社の発展も支えてくれる財形制度の魅力を探る

 
目次
1.ライフプランをもとに、未来を見通す
2.人生の三大資金をカバーする財形制度
3.財形を手がかりに、金融リテラシーを高める

財形を手がかりに、金融リテラシーを高める

—— これだけ有利な財形制度なら、ライフプランのすべてを委ねてみてもいいのでしょうか。

金融商品には、元本保証の程度である「安全性」、換金のしやすさを表す「流動性」、大きく殖やせるかどうかの度合いを示す「収益性」の3つの特性があり、すべての点で優れている商品はありません。もちろん財形も例外ではありませんし、住宅財形と年金財形の非課税枠も元本の合計550万円分までに限られますから、すべての資産づくりを財形だけで行う、というのは無理があります。資金の目的に合わせて、適した金融商品と組み合わせていきましょう。

まず前提として、暮らしていくための当座の資金として、3カ月分の生活費程度は、通常の預貯金など、いつでも引き出せるかたちで持っておきます。その上で、自分のマネープランに合わせて運用商品を選んでいくわけですが、ここで必要になるのが、リスクを正しく認識することです。

リスクというと、普通の人がまずイメージするのは、株価の上下に見られるような「価格変動リスク」ですが、他にも「信用リスク」「為替変動リスク」「カントリーリスク」などの種類があります。金融商品によっても、それぞれ向き不向きが異なるので、株式、債券、投資信託、不動産投資信託(REIT)、純金積立などといった商品それぞれの特性を知っておく必要があります。

資金の目的別、期間別に、どんなリスクを、どの程度まで取れるか、そのためにはどんな金融商品が向いているか、といったことを理解する努力は、生活者にも欠かせない時代となりました。財形貯蓄で選ぶ商品にも、定期預金、債券、公社債投資信託、積立保険、財形株投など、さまざまなバリエーションがありますから、まずは興味を持ったものから調べてみるといいでしょう。

ポイントを押さえた資産運用で、身の丈に合ったマネープランを

ポイントを押さえた資産運用で、身の丈にあったマネープランを

—— 幸せな人生を送りたければ、特に今後は、金融や経済の知識にも親しんでおかなければならないのですね。

収入が伸びず、増税や社会給付の削減で可処分所得が目減りしていく時代にあっては、そこがぜひとも必要です。
とはいえ、大切なのは、自分の身の丈に合ったマネープランで資産を育てていくことです。あまり難しい知識や高度な技術がなくとも、押さえるべき点を押さえるだけで、リスクはかなりコントロールできるようになります。まずは確実性の高い、ローリスク・ローリターンの金融商品から始めて、知識と経験が身についてきたらミドルリスク・ミドルリターンの商品も少しずつ試してみるなど、運用する金融商品の幅を徐々に広げていくのがいいでしょう。

もう一つのポイントは、いきなり多額から始めないことです。極端な例ですが、例えば2007年に60歳で定年を迎えた団塊の世代が、退職金の運用を開始したとします。その後、2008年9月にリーマン・ショックが起こり、日経平均株価が半年で42%も下落する事態になったわけですが、もし、この人が全額を一度に価格変動リスクの大きな商品で運用していたら、運用から1〜2年の間に運用資金の4割を失っていたかもしれません。けれど、資金を少しずつ運用に回して、時間をかけてポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)を完成させていれば、初期運用分こそ価格下落を避けられなかったでしょうが、後から運用を始めた分は経済回復の波に乗り、資産全体としては影響を最小限に抑えられたはずです。

資産運用では、「投資する国(地域・通貨)」「金融商品」「運用期間」「運用タイミング」という、4つの分散を念頭に置きながら臨めば、必ずとはいかないまでも、大きな失敗を防ぐことができます。このうち、積み立てで資産形成を行う財形貯蓄は、自然にタイミング分散が行えるという点でも優れています。

金融リテラシーを高め、ライフプラン・マネープランを育て続ける

—— 無理をせず、少しずつ金融知識を身につけていくためにも、早めに準備を始めていこうと思います。

大人だけでなく、これから成長し、社会に出ていく子どもたちにとっても、金融リテラシー、つまりお金に関する正しい理解と活用能力を高めていくことは大切だと考えています。ですから、物心がついてきたら、子どもと一緒にライフプランを話し合ってみるのもいいでしょう。

これからは、子どもの教育費を全額親が払える時代ではなくなってきます。教育費にお金を集中させてしまい、その結果、自分たちの老後資金が足りなくなってしまったら、かえって子どもに負担をかけてしまうことにもなりかねません。アメリカのように、大学の学費は奨学金で賄い、卒業したら子どもが自分で返済する、というスタイルも今後増えていくはずです。親と子で、何にどれくらいお金を使うか、ライフプランをもとに話し合ってみてください。暮らしのお金について早くから親しんでおくことは、子どもにとっても、今後の人生設計を自分で組み立てていく時に必ず役立ちます。

最後に、ライフプランは一度立てたら完成、というものではありません。最低でもライフイベントを迎えるごとに、基本的には年1回程度、定期的に見直し、改めて資金計画をチェックするようにしましょう。お金に関心を持つこと、それはすなわち、自分の人生に関心を持つということです。自分自身と家族の幸せな生活のために、まずは臆さず向き合ってみてください。財形はいつでも、資金計画の心強いベースになってくれるはずです。

 
プロフィール紹介
白根 壽晴(しらね としはる)
NPO法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会理事長
CFP(R)認定者
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 ウェブサイト 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 ウェブサイト http://www.jafp.or.jp/ へ

1954年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、住友電気工業株式会社を経て、1983年に税理士登録。株式会社エフピーインテリジェンス代表取締役。ファイナンシャル・プランナーの先駆者として、総合的かつ専門性の高いライフプラン・マネープランの提案・サポートに加えて、全国の大学・金融機関などにおけるセミナー・講演活動、執筆など幅広く活躍。ファイナンシャル・プランナーの普及・育成、学生・一般消費者へのマネー教育にも努めている。

 
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