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特別インタビュー企画「財産形成と金融リテラシー」重要性も複雑性も増す人生設計・ライフプランのための金融知識 そんな中、一見地味でシンプルな財形制度が、実は時代を超えた優れもの 金融広報中央委員会会長 吉國 眞一(よしくに しんいち)

老後に不安を残さないよう適切に財産を形成するためには、様々な金融商品の内容や、人生設計の立て方などの金融に関する知識と判断力が必要な時代になりました。そうした「生きる力」としての金融の知識と判断力、即ち「金融リテラシー」の普及活動を推進する『知るぽると(金融広報中央委員会)』の吉國会長に、お話を伺いました。

  • 1.元祖・日本の金融教育、「知るぽると」
  • 2.リスクとリターンの関係を知る
  • 3.ライフプランによって人生を見通すことの意義

元祖・日本の金融教育、「知るぽると」

—— 始めに、「知るぽると」について教えて下さい。

「知るぽると」・金融広報中央委員会は、昭和27年に貯蓄増強中央委員会として発足しました。同委員会は、戦後のインフレ抑制と自立復興のための貯蓄奨励を目的とした、日本における金融教育の元祖のような存在です。その後、時代の要請に合わせ、名称や活動内容の中心を「貯蓄奨励」から「金融広報」に変更し、現在に至っています。具体的には暮らしに身近な金融に関する情報提供や学校での金融教育支援など幅広い広報活動を中立・公正な立場から行っています。因みに「知るぽると」は、私どもの活動をより身近なものとして頂くための愛称です。

計画的な財産形成の重要性

—— 日銀の資金循環統計によると、2015年3月末の日本人の個人金融資産が初めて1700兆円を超えました。世界でもまれに見るお金持ちの国民でありながら、一方で高齢者の貧困やワーキングプアの問題が深刻化していますが、何が原因となっているのでしょう。

高度経済成長の時代、日本人の所得は今よりずっと低かったと思いますが “来年は今年より豊かになる”
“経済は成長する” ということが約束されていました。平均寿命も今ほど長くはありませんでしたし、少子化もここまで進行していませんでしたから、老後を心配する人はさほど多くありませんでした。当時の金利は5〜6%で、貯蓄における「複利の力」も実感できた時代です。「72の法則」といって、72を金利で割るとお金が2倍になる年数が計算できるのですが、私が若い頃は定額貯金の金利が8%ですから、72を8で割って9、9年で預けたお金が2倍になりました。しかし、ゼロ金利の現代だと、一体どれくらい経てば2倍になるでしょう。戦後すぐに生まれた私たちは「戦争を知らない子どもたち」とよく言われましたが、いまの子どもたちは「金利を知らない子どもたち」です。

しかし、金利がつかないからといって、貯蓄をしなくてもよいという訳にはいきません。知らないうちに貯まるという時代ではないからこそ、「ライフプラン(人生設計)」という新たな視点で計画的に財産形成を考える必要が出てくるのです。人生のどのステージでどのくらいのお金が必要になるかを予測し、前もって準備することで、将来の生活に備えようという意識が大事です。

右肩上がりで経済が成長した時代と、次世代が支える年金によって約束されていた豊かな老後は、長引く経済成長の停滞と急速に進む少子高齢化によって、もはや期待できなくなりました。老後資金は引退前から自助努力で準備する必要が出てきたにもかかわらず、生活環境の変化に対する理解が足りないまま十分な備えができなかったことが、高齢者の貧困問題の一因になっています。一方、若者たちに目を向けてみると、労働市場の規制緩和や長引く日本経済の低迷といった労働環境の変化のなかで、非正規労働者やシングルマザーを中心に、いわゆるワーキングプアが増え続けています。

現代日本が抱えるこうした貧困問題を解決していくためにも、ライフプランという視点は重要です。
私が会長を務める金融広報中央委員会は、国民が自立した豊かな生活を実現するために、子どもから高齢者まで幅広く金融教育を推進することが大きな役割の一つですが、そういう意味では、勤労者の豊かで安定した生活をサポートする財形制度と共通点が多いですね。財形制度を運営する勤労者退職金共済機構のホームページやパンフレットにある「人生設計とライフイベント」の一覧は、とても有意義な情報だと思います。

「天引き貯蓄」の魔法

—— 実際にライフプランに即した財産形成に取り組む際、最初のステップとして考えるべきことは何でしょうか。

アベノミクスは「貯蓄から投資へ」をスローガンに掲げていますが、基本はあくまでも貯蓄です。貯蓄がなければ、消費も投資もできません。私たちは、あくまでも公平・中立の立場から特定の金融商品を勧めることはしませんが、一般論として “貯蓄が大事である” と皆さんに伝えています。

貯蓄をするうえで、最も効果的なのが「天引き貯蓄」です。これは、給料をもらったら、まず定額を差し引いて(=天引き)別の積立口座に入れてしまう貯蓄のことです。銀行の「積立貯蓄」や、会社が導入している「財形貯蓄」がこれにあたります。

天引き貯蓄のメリットは、まず収入として入ってきた段階で、貯蓄するお金と使ってよいお金を分けることで、あまり(精神的に)無理をせずに貯蓄ができるということです。手元にあるお金を使わずに残して貯蓄に回すのは案外難しいことですが、天引きで最初から手元になければ、使えるお金の範囲で生活することは、比較的容易なことと言えるでしょう。また、管理しなくてよいのも、天引き貯蓄の大きな利点です。最初に貯蓄条件を設定すれば、あとは放っておいても自動的にお金が貯まっていきます。
財産形成の第1ステップでは、財形のように天引き貯蓄で確実に蓄財することが望ましいでしょう。

リスクとリターンの関係を知る
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